散髪クライシス

この前、生まれて初めて美容院へ行ったんですよ。

まだ入社して1年目なのですが、そこそこ重要な取引先との打ち合わせに人手が少ないとかで議事録係で参加させられることになったのですよ。そこそこ重要な取引先にボサボサボンバーヘアーで赴くわけにもいかないので面倒臭いですが、髪切りに行ったんですよ。

これまではなんとなく実家に帰った際に、行きつけの床屋で切ってもらっていたのですが、髪切るためだけに地元に帰るのはさらに面倒臭いので、引っ越してからはじめて異形の地、東京で髪切る決意をしたんです。

そうなってくると、どこで髪を切るのかが重要になってきます。地元の床屋は店主の方とも話が合い、コミュ障の僕にはともて居心地がいい雰囲気だったので、長らくそこで切ってもらっていたのです。でもはじめて行く散髪屋はどんな接客なのか、腕は大丈夫なのか(だいたい短髪にしてもらうのであんまり関係ないですが)、色々と不安があります。

そこでリア充の権化どもはネットで情報を収集して、レビューを元に探し当て、担当の美容師は誰それがいいとか抜かすのですようが、僕は生まれてこのかた美容院に行ったことがありません。美容院ってなんか全面ガラス張りのオシャンティーでリヤ充の巣窟だと思っており、僕みたいな野暮ったい人間の行くところではないと勝手に思っていました。

まあでも今でも思っているのですが、どうも近所には床屋なんてものはないらしく、googleMapで探せど美容院、美容院ばかり。

ここに住んでいる人間は皆オシャンティー属性しか持ち合わせていないのかと思うほど美容院。これが都会人と田舎民族の違いなのか。

そんな経緯で、美容院へ行く決心をしたんです。通勤で駅まで行く道のりに2件の美容院があることは知っていました。1軒目はザ・美容院って感じで、ガラス張りで店員もお客もみんなおしゃれ。僕が入っていい世界ではない。ここだけ空間がゆがんで別次元が見えているのではないと思うほどの異次元。うん、却下。

それでもう1軒というところが、見るたびに閑古鳥が鳴いている下町の田舎にあるような美容院。閑古鳥が鳴いている点に一抹の不安がありましたが、背に腹は変えられませんので、ここに決定です。

美容院に通っているリヤ充どもは驚くかもしれませんが、基本的に僕は電話で予約とかしません。飛び入りで参加して空いていればすぐにお願いする、空いていなければその場で予約する。これが田舎の常識です。

「予約してないんですけど大丈夫ですか?」って言いながら軽快に入店する予定がでしたが、店主さ、テレビ見てて入店した僕に気が付いていない。どんだけ暇なんやねん。ここでやばそうな雰囲気を感じたのですぐに引き返すこともできたのですが、そしたら取引先との打ち合わせどうするねん、てか不審者かな、男じゃないかなって色々と葛藤があった結果、ズカズカと奥に進み、もう一回問うて見ます。

お化けでも見るかのようにびっくりする店主。だからどんだけ客いないねん。

一瞬間がありましたが、すぐににこやかになって髪を切ってもらえることになりました。

順調に髪を切る流れになって行ったのですが、「今日はどんな感じにします?」と聞いてきますので、「さっぱりと短くお願いします」って答えるじゃないですか。

そしたらめちゃくちゃ驚かれて、奥からカタログ持ってきて、ここから選んでくださいってなったんですよ。驚いたのは僕の方だよ。田舎の床屋ははじめて行った時でも、それ切ってくれたぞ。

件のカタログもみんなイケメンで、僕みたいなブサイクがこんな髪型してもイケメンになれるわけがないので、適当に短髪のイケメンを探して「これ!」。

ぎこちない、微妙に噛み合わない会話の末、カット終了。

うん、地元の床屋で切ってもらった時と違いがわからん。

僕の髪って、誰に切ってもらってもこんな感じになるんだなと思いながら、散髪料金払ってとぼとぼと帰りました。

そうそう、結局取引先の打ち合わせは、別の人が行ったよ。